豚の矜持 番外編2 ある家臣の独白
あの方は、私にとってのあこがれの的だった。 王国の要たる宰相、そして国守り5大家の主、めったにその姿を見ることはできなかったがその堂々たる姿に私は魅せられていた。 毎年、新年の集いの場に参加するとき私…
あの方は、私にとってのあこがれの的だった。 王国の要たる宰相、そして国守り5大家の主、めったにその姿を見ることはできなかったがその堂々たる姿に私は魅せられていた。 毎年、新年の集いの場に参加するとき私…
今日も空から大粒の雨が落ちてきた。 彼女は雨の日が好きだった。特にこういう激しい雨が。 雨の日には、いつも不思議な幻を見る。 雨音に耳を澄まして、目を閉じると、ある光景が浮かんでくるのだ。 激…
水は冷たく心地よかった。 彼はもう一度水に飛び込んだ。今度こそは獲物を捕らえるのだ。 彼はここのところ素潜りで魚をつくのに熱中していた。釣りや上から銛で突くのも楽しいけれど、この季節は潜るのが一…
リードはこのゲームが大嫌いだった。 それなのに、なぜ、こんなクソゲーの世界に転移させられないといけないんだ。 何百回も、何千回もののしり続けているが、書類の山は消えなかった。 「リード様、今日は…
塔での生活は単調で変化のないものだった。 わたしはとても退屈していた。 豚邸での生活再び、だ。 違いがあるとしたら部屋の内装だろうか。 わたしの閉じ込められている部屋には何もなかった。粗末…
都への旅は穏やかだった。 軍隊というよりもごろつきの集まりといった方がいい評議会軍だったけれど、片輪のわたしに手出しをするものは誰一人としていなかった。 意外だった。 わたしは一応悪の親玉とい…
ふと暗闇から抜け出した。 天井が見える。見知らぬ天井だ。 また、見知らぬ天井だ。 前にも似たようなことがあったことがふと頭をよぎった。 あれはどこだったか?見たこともない豪華な作りだった気が…
思っていたよりもずっと楽だった。 彼は邪悪な笑みを浮かべた。 「こいよ」 そういって、挑発すると遠巻きにしている連中は後ずさりした。 本当は心配していたのだ。彼の力が、努力の結果が、強さに結びつ…
季節外れの冷たい雨の降る日だった。 その日は早めに予定を切り上げて、駐屯地とかしている村で体を休めていた。 わたしはクラリスやすっかり護衛役にはまってしまったギュスターブと地図を眺めていた。祠巡り…
「どうしてこうなった」 トールとわたしは頭を抱えた。 ほんの数十人の兵士を連れて行こうと思っていたのに500人。それも訓練を積んだ兵士たちだ。 「おまえのところの領軍を出すはずだったろ。なんで、王…