第18話 買い物
「これはなんだろう?」 僕はフラウに紙を渡した。 僕たちは砦のみんなから頼まれたもののリストを仕分け中だった。 ここに来た目的はほぼ果たされた。 フラウが光板を使って確かめたところ、装備の申請…
「これはなんだろう?」 僕はフラウに紙を渡した。 僕たちは砦のみんなから頼まれたもののリストを仕分け中だった。 ここに来た目的はほぼ果たされた。 フラウが光板を使って確かめたところ、装備の申請…
僕は『かわいい子猫の館』に逃げ込んだ。 あの男の恐怖に比べたら、僕の貞操を失うことなどたいしたことではなかった。 道中、フラウが何か話しかけてきたけれど、頭の中がいっぱいでよく覚えていない。 な…
フラウに提供された部屋をあちこち調べてみたが、どの備品も僕が使うことができない等級に設定されていることが分かった。 これでは、飛び切り豪華なつくりの牢獄に閉じ込められているようなものだ。 フラウは僕…
フラウは行かなければといっていたけれど、僕は砦に行きたくなかった。 僕のように等級の低いものはゴミ扱いされるのが見えていたからだ。 僕は、砦を仰ぎ見るこの黒の町で育った。その間に砦の中に入ったこ…
老ポナは同意するようにうなずいた。 僕たちは、売れなかった道具を箱に詰めて、店を立ち去った。 小ポナが、僕のおもちゃ……とか何とかごねていたが無視をした。 帰り道はずいぶん簡単だった。 「あの、…
「本当にここでいいのかしら」 僕とフラウはその建物の前で立ち尽くした。 無秩序に建物が並んでいるこの区画の中でも、その建物が建っている場所は異様だった。案内した人たちがみな一様に逃げるように消えて…
荷馬車は何事もなく第7砦についた。 森に囲まれていた僕らの砦と違って、こちらのほうは村が隣接した砦だった。開墾もかなり進んでいて、周りには畑が広がっている。 僕らはとても丁重に第七砦の司令官に出迎…
「どうすればいいと思う?」 夜、二人だけになったときにフラウが僕に相談を持ち掛けてくる。 「第一砦かぁ。黒の町にある、あれだね」 「そう。私が行かないとダメかしら」 「正直、行っても無駄かもしれない…
その日は普通の夢を見た。 巨大化したフラウに、誤って踏みつぶされる夢だ。 あ、ごめんなさい、と慌てふためくフラウに、つぶされた僕はたいしたことないと連呼していた。 フラウが、僕よりも年上? そんな…
砦は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。 いつもは外に住んでいる洗濯女や下働きの男たちがみんな砦にうちに避難してきていた。 軍の規律で彼らが砦に入ってはいけないという建前になっていたのではな…