第18話 買い物

「これはなんだろう?」  僕はフラウに紙を渡した。  僕たちは砦のみんなから頼まれたもののリストを仕分け中だった。  ここに来た目的はほぼ果たされた。  フラウが光板を使って確かめたところ、装備の申請…

第16話 装備係

フラウに提供された部屋をあちこち調べてみたが、どの備品も僕が使うことができない等級に設定されていることが分かった。 これでは、飛び切り豪華なつくりの牢獄に閉じ込められているようなものだ。  フラウは僕…

第15話 第一砦

 フラウは行かなければといっていたけれど、僕は砦に行きたくなかった。  僕のように等級の低いものはゴミ扱いされるのが見えていたからだ。  僕は、砦を仰ぎ見るこの黒の町で育った。その間に砦の中に入ったこ…

第14話 古物商

 老ポナは同意するようにうなずいた。  僕たちは、売れなかった道具を箱に詰めて、店を立ち去った。 小ポナが、僕のおもちゃ……とか何とかごねていたが無視をした。  帰り道はずいぶん簡単だった。 「あの、…

第12話 黒の町

荷馬車は何事もなく第7砦についた。  森に囲まれていた僕らの砦と違って、こちらのほうは村が隣接した砦だった。開墾もかなり進んでいて、周りには畑が広がっている。  僕らはとても丁重に第七砦の司令官に出迎…

第11話 出発

「どうすればいいと思う?」  夜、二人だけになったときにフラウが僕に相談を持ち掛けてくる。 「第一砦かぁ。黒の町にある、あれだね」 「そう。私が行かないとダメかしら」 「正直、行っても無駄かもしれない…

第10話 壊れ物

その日は普通の夢を見た。 巨大化したフラウに、誤って踏みつぶされる夢だ。  あ、ごめんなさい、と慌てふためくフラウに、つぶされた僕はたいしたことないと連呼していた。  フラウが、僕よりも年上? そんな…

第9話 初遭遇

 砦は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。  いつもは外に住んでいる洗濯女や下働きの男たちがみんな砦にうちに避難してきていた。  軍の規律で彼らが砦に入ってはいけないという建前になっていたのではな…

第8話 のろし

どれだけ歩いただろう。何度も休憩を繰り返し、上へ、上へと昇っていく。  フラウが魔力切れを起こすこともなく、異形の生物に襲われることもなく、そういう意味でとても順調に僕らは穴を上り続けている。  途中…

第7話 研究室

 くたくたになるまで歩いたから、たぶんもう外は夜になっているに違いなかった。僕らの時計は何かの力でくるってしまったのだろうか、それぞれ別の時間をさしていた。探索に入るとき時間を合わせたにもかかわらず、…

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