セブンシスターズをみた

日記

面白いディストピア物の映画を見ました。

「セブン・シスターズ」2017年に公開された映画です。

残念ながら、公開当時全然気にも留めておらず見に行きませんでした。今回はアマゾンプライムでの視聴となります。

この映画、かなりとがった映画です。

設定にかなり無理があり、それでも最後まで見せてしまうすごい作品です。

近未来、地球環境が破壊され人類の人口爆発が問題視されている世界が舞台です。このままでは地球が壊れてしまう、ということで始まったのが、究極の一人っ子政策でした。二人目が生まれたら冷凍睡眠させる。これです。未来の地球が安定するまで小さな子供たちを眠らせておくのです。

その中で多胎児として生まれた7姉妹(!!??)お母さんが死んでしまい、おじいさんがこの子たちを育てることにします。彼はもちろん一人っ子政策になど従わず、子供たちに曜日の名前を付けて一週間に一日だけカレンという少女として生きることで政府をごまかそうとします。

30歳になるまで無事に成長した7姉妹でしたが、ある日「月曜日」が戻ってこなかったことで、これまでの生活が破綻して……

前半かなりゆっくりとしたペースで物語が進みますが、後半は派手な銃撃戦とか格闘戦とかアクションシーンがいっぱいです。雪崩を打つように物語が展開していきます。ちょっと残虐なシーンもあるので、そういうものが嫌いな人は要警戒です。

この映画、無茶苦茶大味です。設定があるようでない。

そもそも多胎児で7人ということ自体無理くりなのですが、まぁ、それはそれ。そこを突っ込むと話がそこで終わってしまうので勢いで無視をします。二時間の映画なので、細かいところは潔く省略という感じでしょうか。

この映画何がすごいかって、一人の女優さんが7人全員を演じているということ。並べても全くの別人がいるように見えるのです。ノオミ・ラパスという女優さんなのですが、スポーツ好きムキムキ姐さんから、オタク系女子、マリリンモンロー風のセクシーな姉さんや、まじめそうな堅物まで。これ、とるのはとても大変だったと思います。

一役の時よりも七倍時間がかかるよね。途中で訳が分からなくならなかったかな?

7人が一人の人間を演じるという役を、7人分一人で演じる、という何とも面白い構造です。

アクションシーンも、人格の個性に合わせての戦い方がすごい。かっこいい格闘シーンから定番のフライパンまで。戦う女性が好きな人にはドキドキするような映像なのではないでしょうか。

題材は今はやりの環境問題を突き詰めちゃうとこうなるかもディストピアですね。

中国の結局やめてしまった一人っ子政策を思い起こさせるような「育てるのは一人だけ」政策。純粋な善意から成り立っているのです。地球環境を守ろう。人間の増殖したい欲望を抑えて適正な数を保とう。でも欲に負けてできないよね。だったら、政府が公権力を使ってそちらに誘導していきましょう。みたいな感じです。

いっていることはとても”正しい”のですよ。人が多いから減らすよ。ただそれだけのことなのですけれど。減らされるほうはたまらない。それが自分の子供であればなおさらのことです。七姉妹のおじいさんのように抜け道を探す人は多いと思います。実際、中国でも戸籍なしの子供がたくさん違法に存在していた(る?)といいますから。

理想の社会という”正しさ”を追求した先が結局ディストピア。主人公たちは隠れ住まないといけないし、追われるし、どうよ、という話です。

じゃぁ、いったいどうすればいいのかな。現実でも似たような事例が多いだけに悩むところです。その葛藤もまた人の業でしょうか。

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