豚の矜持25 準備

 今更ながらの行動だと思う。  わたしは情報を集めようと思った。庭師の師匠や、チャールズ、協力してくれる人たちには頭を下げた。  そして、金もばらまいた。黄金の威力は偉大だった。なぜ人があれだけ金に執…

豚の矜持24 決意

さく、さく、さく。  鍬が土に振り下ろされる。  さく、さく、さく。  リズミカルに鍬が土を掘り起こす。  土はいい。こうやって畑仕事をしていると、何も考えずにすむ。  わたしはただひたすら土を掘り起…

豚の矜持23 マーガレットからの手紙

 一郎君へ  これが君に送る最初で最後の手紙になると思う。  本来なら、マーガレットからの報告書という形式で手紙を書くべきなのだろうが、あえて橘敬士から最後のメッセージを送りたい。  昨日無事にフライ…

豚の矜持22 愛娘

エリザベータののる馬車はまっすぐ“村”に向かっている。  いったい誰が彼女をここに送ったのか?こんな危険な場所へ。  もうすぐトールたちが畑や工場を爆破するはずだ。派手に壊すといっていた。それこそ、い…

豚の矜持21 プレイヤー

ゴールドバーグ公爵様」ルーシーはわたしにほほえみかけた。  相変わらずの美少女、いや、美少年ぶりである。 「なぜおまえがここにいる?」  わたしは精一杯威厳を込めて商人Aをにらんだ。 「なぜとおっしゃ…

豚の矜持20 花

「落ち着いて話してくれないか?あの花はなんだというのだ?」  本当に落ち着かなければいけないのはわたしのほうだった。頭の中でいろいろな物がぐるぐると回っている。  わたしとクラリスは、馬車の中で庭師の…

豚の矜持19 庭師

そして、マーガレットさんはいってしまった。  フライスビューネの外交官を名乗る男と一緒に去って行った。  わたしは見送りには行けなかった。 「手紙を書くわ」  最後にあったときマーガレットさんはいつも…

豚の矜持18 ゲーム

葬式はひっそりと執り行われた。  誰一人声を上げる者がいない静かな葬儀だった。  主として式を司ったわたしも司祭が帰ってすぐに館に引き返した。  カークの墓前に残ったのは赤毛の女ただ一人である。  わ…

豚の矜持17 イベントカーク

俺には御使い様が憑いていた。  御使い様はおとぎ話に出てくる精霊の分身だ。普通の精霊よりもずっと人に近くて、人と話をするという小さな精霊だ。  ある日突然、御使い様は俺のところに降りてきた。  友人の…

豚の矜持16 冬の宴

冬の宴…ぶっちゃけていえばクリスマスイベントだ。  ファンタジーらしく、名称は変えてあるが、ほぼそのまま。キリスト様がどこかの神様の名前にすり替わって、教会が神殿になっているくらいの違いしかない。  …

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